「クラウドソーシングを始めてみたいけど、トラブルが多いみたいで不安……」
「クラウドソーシングでトラブルが起こったときの解決策が知りたい」
このように悩んでおられる場合もあるはずです。
そこで今回は、クラウドソーシングで起こりがちなトラブル事例を5つ挙げ、それぞれ具体的な解決手段をお伝えします。
この記事を読むことでトラブルの代表的なケースと原因が分かるため、より適切な解決手段を講じやすくなります。
クラウドソーシングの危険性
クラウドソーシングのトラブルを知る前に、まずはクラウドソーシングを利用することによるリスクを理解しておきましょう。
クラウドソーシングには、手間をかけずに仕事を探しやすい、自分のスキルを生かしやすいなどのメリットがあります。
しかし、クラウドソーシングを利用したからといって必ずしも稼げるとは限りません。
以下でお伝えするリスクを理解していないと、かえってトラブルに巻き込まれる可能性もあるので注意してください。
個人情報が抜き取られる可能性
クラウドソーシングでは必ずしも個人情報を登録しなければいけないわけではありません。
ただし、クライアントによっては契約前に個人情報の提出を求められたり、秘密保持契約のために氏名や住所を提供する必要があります。
事前に秘密保持契約を結んでいれば、万が一個人情報が抜き取られた場合でも法的手段をとることができます。
が、安易に個人情報を提供してしまうと、個人情報を悪用されるリスクがある点に注意しなければなりません。
商品・サービスを無理やり購入させられる危険性
クラウドソーシングには善良なクライアントが多い一方で、中には悪質なクライアントも存在することは事実です。
悪質なクライアントによっては、ワーカーに無理やり商品やサービスを買わせようとするケースも存在します。
クラウドソーシングでは、ワーカーに商品やサービスを購入させる行為が禁止されています。
しかし、初心者のワーカーほど、「クライアントの要望に応えなければいけない」という気持ちが強く、断り切れないケースも少なくありません。
クラウドソーシングで起こりやすいトラブル
クラウドソーシングでは上記でお伝えしたリスクの他、仕事を進めるうえでクライアントとのトラブルに巻き込まれる可能性も潜んでいます。
クラウドソーシングで起こりやすいトラブルは、主に次の6点です。
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- 報酬金額の未支払い
- クライアントとの連絡途絶
- 不正行為への加担
- 納品物の非承認
- 著作物の不正利用
- クラウドソーシングの割に合わない報酬
各トラブルの解決策は後ほどお伝えしていますので、まずはどのようなトラブルが多いのかを把握しておきましょう。
報酬金額の未支払い
悪質なクライアントと仕事をすると、ときに報酬金額の未払いトラブルに巻き込まれることがあります。
たとえば、ライティング案件で3万円の契約を受注したとしましょう。
当初では、10記事を納品することで3万円の報酬を受け取れるはずでした。
しかし、記事を納品した後、クライアントがなかなか報酬を支払ってくれません。
それどころか何度も修正を指示され、指示通りの修正を行っても報酬を支払ってくれませんでした。
このようなケースを「踏み倒し」とも言います。
クライアントの要望通りに納品・再納品を行っても報酬の支払いを渋るということは、もともと支払う意思がなく、不正にワーカーに仕事を依頼している可能性があります。
クライアントとの連絡途絶
クラウドソーシングで起こりやすいトラブルとして、報酬金額の未払いと共に連絡途絶が挙げられます。
連絡途絶とは、クライアントからの返信が急に途絶えてしまうトラブルです。
返信が途絶えると、たとえ納品手続きが完了していたとしてもその後の手続きが進まず、報酬が受け取れない事態へと発展します。
連絡途絶は報酬の未払いのトラブルと同様、踏み倒しに近い行為です。
幸いにもクラウドソーシングの踏み倒しに対処する手段はあるため、以下でお伝えする解決策を参考にしてください。
不正行為への加担
クラウドソーシングの仕事は、必ずしも全てが法に則った適正な仕事とは限りません。
中にはグレーやブラックな仕事を平気で依頼するクライアントも存在するため、受注時に注意していないと不正行為に加担してしまう恐れもあります。
クラウドソーシングで禁止されている行為は、主に次のような仕事が挙げられます。
- 公序良俗に反する仕事
- クラウドソーシングサイトを介さない仕事や支払い、直接取引を想起させる仕事
- 業務委託契約以外の仕事
- 第三者の著作権や知的財産権の侵害の恐れのある仕事
- 外部サービスの規約違反に抵触する可能性のある仕事
- 外部サービスやメルマガへの登録、商品の購入、アフィリエイトに該当する仕事
上記の仕事に加担すると最悪の場合はアカウント停止になる可能性もあります。
納品物の非承認
クラウドソーシングでは、クライアントがなかなか納品物を承認してくれないトラブルも起こりがちです。
クライアントの要望が曖昧になりやすいライティングやWebデザイン、ECサイト構築などの仕事で起こりやすいと言えます。
たとえば、ECサイトを構築する場合、クライアントの運営サイトのシステムによっては技術的に要件を満たせないケースもあります。
仮にワーカーがその旨を正直に報告していれば、お互い納得する形で契約をキャンセルすることもできます。
一方、クライアントによっては、「困難でも仕事を進めてほしい」と要望することも考えられるでしょう。
ワーカーは何とか要望に応えようと試行錯誤しますが、結局満足できる作品を提供できませんでした。
結果として、要件通りの納品が行われていないため、クライアントは納品物を承認してくれません。
ワーカーとしては技術的に困難なことは再三報告していたため、成果物として認めてほしいところでしょう。
このように、作業を進める内にクライアントとワーカーの認識のずれやコミュニケーション不足などが発生し、納品物が非承認になるトラブルが起こる可能性があります。
著作物の不正利用
クラウドソーシングでワーカーが提出する納品物には、著作権が適用されるものも少なくありません。
ライターが執筆した記事、デザイナーが作った図面やWebデザインなどが該当します。
作品を仕上げた段階ではワーカー側に著作権があり、納品を行うことでクライアントに著作権が譲渡されます。
つまり、クライアントは納品物を承認し、ワーカーに報酬を支払わない限り著作権を利用する権利がないということです。
たとえば、ライターがクライアントの運営サイト用に記事を納品したとしましょう。
報酬はまだ支払われていません。
つまり、著作権はまだライター側にあるため、この時点でクライアントが記事を投稿し、Web上にアップすれば不正利用となります。
著作権の不正利用は報酬の踏み倒しと同時に起こるケースが多いです。
クラウドソーシングの割に合わない報酬
クラウドソーシングの仕事は適正な単価が決まっているわけではありません。
そのため、仕事を募集する段階で割に合わない単価を設定するクライアントも存在します。
たとえば、ライターの場合だと、文字単価0.1円以下の仕事もたくさんあります。
仮に3,000文字の執筆を0.1円の単価で請け負った場合、1記事辺りの単価はわずか300円です。
初心者ライターだと3,000文字を書くだけでも半日以上の時間を要することもあり、1日にして500円すら稼げないことになります。
上記のようなケースは、明らかに設定する報酬金額が低すぎると言わざるを得ません。
クラウドソーシングでトラブルが起こる原因
クラウドソーシングでトラブルが起こりやすい原因は、もともとのシステムやクライアントとのコミュニケーション手段に大きな要因があります。
ここでは、クラウドソーシングでトラブルが起こる原因を2つに分けて解説しています。
原因をしっかりと理解しておくことで、より適切な解決手段へと導くことができるでしょう。
クライアントと直接会って仕事をするわけではない
クラウドソーシングのほとんどの仕事は、機能として存在するメッセージツールやチャットソフトなどによってクライアントとのやり取りを行います。
クライアントと直接会って仕事をするわけではないので、報酬の未払いや連絡途絶などのトラブルが起こりやすいと言えます。
たとえ連絡が途絶えても、ワーカーとして対処する手段が限りなく少ないからです。
上記のようなクラウドソーシングの穴を突き、始めから納品物を悪用する目的で報酬を支払わないケースも後を絶ちません。
踏み倒しにあっても泣き寝入りすることがないよう、後ほどお伝えする対策をしっかりと学んでおきましょう。
契約内容が曖昧なまま仕事を進めてしまう
クラウドソーシングのトラブルは、クライアントとの認識不一致やコミュニケーション不足によって引き起こされるものも少なくありません。
作業中あるいは納品後にクライアントと揉めてしまう原因は、契約内容が曖昧なまま仕事を進めてしまうことにあります。
たとえばライターの場合、画像の選定は必要か、入稿はどのような方法(WordPressやGoogleドキュメント等)かなど、ワーカーの担当範囲をしっかりと打ち合わせしておくべきです。
「ライターだから執筆作業しかしない」という認識だけで仕事を進めてしまうと、納品後にクライアントから別の作業を求められることもあります。
執筆以外の作業も思った以上に時間が取られるため、当初想定していた報酬では採算が合わないことも考えられるでしょう。
その結果、クライアントとの揉め事に発展し、報酬の未払いや踏み倒しなどのトラブルに発展する可能性もあります。
クラウドソーシングでトラブルが多い職種・案件
クラウドソーシングでは、クライアントからの要求が多く、複雑な仕事ほどトラブルが起こりやすい傾向にあります。
特に以下の職種や案件で仕事を行うときは注意しましょう。
- Webデザイナー・プログラマー
- ライター
- ECサイト構築
Webデザイナー・プログラマー
Webデザインやプログラムの仕事は、クラウドソーシングの中でもトラブルが多い職種です。
デザインやプログラムの仕事内容は要件を定義しにくいこともあり、クライアントからの要望も曖昧な内容でまとまっていることも珍しくありません。
よって、仕事を進めていく内にクライアントとの認識のズレが発生したり、納品後に要件と違うことを理由に納品物を承認してくれないトラブルが起こりがちです。
ライター
ライティングの仕事は、事前にクライアントからマニュアルを提供されることがほとんどです。
しかし、クライアントの中には簡単な検索キーワードとテーマのみを提示して、その他の要件を提示しないケースもあります。
先ほどお伝えしたように、ワーカーの担当範囲を事前に明確にしておかなければ、後々クライアントとのトラブルに発展する可能性が考えられます。
また、同じ検索キーワードでも、ライターによって記事の内容は大きく異なります。
自分の考えだけで執筆を進めてしまうとクライアントが求めていた記事の内容と大きくブレる可能性があり、トラブルに進展しやすいと言えるでしょう。
事前に記事の構成案を提示するなど、クライアントとの綿密なコミュニケーションが欠かせません。
ECサイト構築
ECサイトの構築は、ワーカーが提供する技術的要件がクライアントの運営するサイトのシステムと密接に関わります。
サイトのシステムによっては技術的に要件を満たせないことも考えられ、クライアントとの密なコミュニケーションが必要不可欠です。
クラウドソーシングのトラブルを解決するコツ
ここまでクラウドソーシングのトラブル事例や原因についてお伝えしてきました。
トラブル事例や原因をしっかりと理解しておくことで、今度はその解決策を講じることが可能です。
解決策は全部で5つとなり、対処すべきトラブルに合わせて参考にしてください。
クライアントの評価情報を確認
今回お伝えしたクラウドソーシングのトラブル事例のほとんどは、悪質なクライアントによって引き起こされます。
よって、事前に悪質なクライアントを見極めることこそトラブルの予防策であり、最大の解決手段になり得ます。
クラウドソーシングには必ずクライアントの評価情報が記載されています(主に星5が良い、星1が悪い)。
事前にクライアントの評価ページへアクセスし、できるだけ高評価を受けるクライアントの仕事を受けるようにしましょう。
基準としては、星4.5以上あるクライアントであればトラブルに巻き込まれる可能性が低くなります。
仮払い後の作業開始
仮払いとは、ワーカーが作業を開始する前にクラウドソーシングのサイトへクライアントが報酬を前払いするシステムのことです。
クラウドソーシングでは、仮払い後の作業開始が推奨されています。
仮払い後であれば、たとえ納品後にクライアントの踏み倒しに遭っても、報酬を回収できる可能性が高くなるからです。
ただし、仮払いされた契約でも安心はできません。
クライアントの未払いや連絡途絶などは放置しておくだけで解決はしないからです。
踏み倒しのトラブルに遭った場合、必ずクラウドソーシングの運営側に相談する必要があります。
クラウドソーシングサイトへ相談
仮払いが行われた契約で踏み倒しに遭った場合、クラウドソーシングサイトへ相談することで報酬を回収できることがあります。
それまでの契約の経緯を相談し、メッセージやチャット、提出物などの証拠物を提示すれば、クラウドソーシングサイトが仮払い口座にある報酬を渡してくれることも珍しくありません(ケースによって不可の場合もあります)。
また、クライアントから商品やサービスの購入を迫られたり、外部サイトへの登録を強要されたりした場合、作業を行う前にクラウドソーシングサイトへ相談してみましょう。
サイト容の規約に違反しているときは契約破棄の手続きを仲介してくれることもあります。
徹底したコミュニケーション
クライアントとの揉め事によるトラブルを避けるためには、徹底したコミュニケーションが大切です。
たとえば、ライターの場合だと少なくとも以下の点は契約前に話し合っておく必要があります。
- 1記事辺りの文字数
- 文字単価
- 検索キーワード調査の必用可否
- 構成の必要可否
- 文章表記ルール(「です・ます」調やトンマナ等)
- 検索キーワードの出現率・出現数
- コピペチェックツール結果の許容結果範囲
- 画像選定の必要可否・枚数
- 文字装飾の必要可否・方法
- 納品方法(WordPressやGoogleドキュメント等)
作業中に疑問を感じた場合、ささいなことでもクライアントに相談しておきましょう。
クライアントと密なコミュニケーションをとっていると、認識のズレや納品後のトラブルを減らすことができます。
クラウドソーシングの問題を弁護士に相談
クラウドソーシングにおけるワーカーとクライアントとの契約は、あくまで当事者同士で話し合ってトラブルなどを解決することが求められます。
しかし、当事者同士ではお互いの主張を述べあって話が平行線になったり、クライアントと連絡がつかないなどの解決が難しいトラブルに遭う可能性もあります。
クラウドソーシングサイトに相談しても解決が難しい場合、弁護士に相談してみることをおすすめします。
クラウドソーシングやフリーランスを専門にする弁護士も少なくありません。
弁護士に相談する場合は物的証拠が必要となるため、事前に契約内容を明確にしておくことも大切ですし、内容をしっかりと保管しておきましょう。
まとめ
クラウドソーシングでは、悪質なクライアントの仕事を受けてしまいトラブルに発展する可能性が潜んでいます。
しかし、事前にクライアントの評価を確かめることや、コミュニケーションを徹底することで解決できる問題も多いのが事実です。
トラブルの対処方法を知っていれば、クラウドソーシングのメリットを活かして自分らしい働き方を見つけることもできます。
トラブルが多いからといって不安になることはありません。
まずはクラウドソーシングで仕事を開始してみることをおすすめします。
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