ランサーズを利用している方で、誰しもが疑問に感じること。
それは著作権に関する問題です。
自身で制作した成果物の著作権は譲渡されるのか?
記事作成で引用をしてみたけれど、著作権違反になっていないか?
などなど、著作権に関する悩みは尽きません。
そこで今回はランサーズにおける著作権のルールに関して、簡単に解説していきたいと思います。
こんな人におすすめ
- 成果物(イラストや記事等)に対する著作権がどうなるか詳しく知りたい
- 引用に関するルールを理解したい
成果物に関する著作権について
ランサーズ上で契約を結び、成果として提出した作品に対して、著作権がどのように適用されるのか気になりますよね。
まずは、自身の成果物に対する著作権のルールについて確認していきましょう。
著作権はすべてクライアントへ譲渡される
ランサーズでは、契約が成立した時点で、成果物の著作権がすべてクライアントに譲渡されてしまいます。
このルールに関しては、ランサーズの公式サイトに詳しく記載されています。
ランサーズでは、当選確定の時点で、クライアントと、当選したランサー間に契約が成立します。
この場合の契約は、利用規約にて「クライアントが選択した成果物の著作権等すべての譲渡可能な権利の譲渡契約」と定義しておりますため、当選した提案の著作権はすべてクライアントへ譲渡されます。
引用元:Lancers
つまり、自身の成果物であったとしても、著作権は完全にクライアント側に移ってしまいます。
実際の口コミを確認
著作権に関して、実際に疑問を感じたクライアントの口コミを確認してみましょう。
今回はこちらのブログ記事を参考にしました。
この記事の作者は、ページデザインの固定報酬案件に応募したそうです。
契約後、クライアントが無断でデザインを使用していることが発覚しました。
その件についてランサーズに問い合わせをしたところ、このような返答がきました。
ランサーズでのお取引で制作いただいた作品につきましては、報酬のお支払い確定と同時に
ランサー様からクライアント様へ著作権等すべての譲渡可能な権利が譲渡されるものとさせていただいております。
ご案内が至らず、大変申し訳ございません。
引用元:miroのブログ
この例からもわかるように、ランサーズでは基本的に成果物の著作権は譲渡されてしまうことが分かりました。
この事実は、ランサーズを利用している方のほとんどが知らない情報ですので、覚えておいて損はないと思います。
他のクラウドソーシングでは著作権が譲渡されるのか?
ランサーズでは著作権がすべて譲渡されるという規定になっていますが、これは一般的なのか気になる方も多いのではないかと思います。
そこで、他のクラウドソーシングにおける著作権に関する規定について調べてみました。
本取引の業務が完了するまでの間はメンバーに帰属するものとし、本取引の業務が完了した段階でクライアントに移転・帰属するものとします
クラウドワークスでは、業務が完了するまではメンバー(仕事受注者)に所有権があり、契約完了後は、クライアントに権利が譲渡されるという制度を取っていることが分かりました。
ココナラで似顔絵やイラストなどを依頼した場合、出品者による制作物の知的財産権は出品者に属するものとした上で、出品者は購入者に対して原則自由に制作物を利用できる権利を認めるものと定めています。引用元:ココナラ
基本的な著作権は制作者に属するが、購入者(クライアント)は原則自由に成果物を利用することができるということが分かりました。
このようにサービスによって差はありますが、クラウドソーシングでは、基本的に著作権はクライアント側に移るという風潮が強いことが分かりました。
著作者人格権についてのルール
ランサーズの著作権に関するルールは、もう一つ記載されています。
それは以下のような内容です。
会員間取引によって著作権を譲渡した成果物につき、クライアント又はクライアントの取引先に対し、著作者人格権を行使しません。(第15条)
引用元:Lancers
著作者人格権とは、いったいどのような権利なのでしょうか?
著作者人格権とは?具体的に解説
著作者人格権は、作品を制作した人に対する名誉を守るために作られた権利です。
著作権法で、大きく4つに分類されています。
- 公表権
- 氏名表示権
- 同一性保持権
- みなし著作者人格権
簡単に言えば、著作物の創作者に対して、感情に害を与えないように利用をしなければならないということを求める権利です。
また、著作者人格権は基本的に譲渡できないものであるということが憲法に記載されています。
著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
引用元:著作権法第59条
そのため、著作権がクライアント側に譲渡されてとしても、著作者人格権は著作者側に残るという仕組みです。
著作者人格権を行使しないとは?
ランサーズの規約には、著作者人格権を行使しないと記載がされています。
こちらは、仕事の発注者にとって非常に重要な権利となります。
この規約の内容は、著作者がクライアントに著作権を譲渡する際に、著作者側が著作者人格権を行使しないということを表しています。
この規約があることで、発注者は成果物を自由に修正することが可能になります。
もしも、著作者人格権が保障されていない場合どのようなことが起こってしまうのか。
具体例を見てみましょう。
男性:仕事の依頼主(クライアント) 女性:仕事の受注者
記事を納品していただきありがとうございます。
修正し、利用させて頂きたいと思います!
この作品には、私の思いが込められています。
そのため、修正はしてほしくないのですが、、
既存の記事との統一感を出すために、
少しだけ修正させて頂けないでしょうか?
それは著作者人格件に違反します。
このように、クライアントが独自の判断で修正することが難しくなります。
クライアントが自由に作品を利用できるようにするための権利が保障されているということが分かりました。
引用に関するルール
ランサーズで作業をしている際に、他人が作成した文章や画像を引用する機会があると思います。
その際のルールを正しく知る機会は少ないのではないでしょうか?
そこで、第三者の著作物を引用するためのルールについて解説していきたいと思います。
引用する際に気を付けること
他人の著作物を引用することは憲法上で認められています。
なぜなら、他人の著作物を使うことで、説明が分かりやすくなる場面が非常に多いからです。
しかし、引用するにあたって、いくつかルールが定められています。
- 引用部分が公表された著作物であること
- 引用部分と自己の著作物の区分が明瞭であること
- 自己の著作物が「主」であり、引用部分が「従」であること
- 「引用の目的上正当な範囲内」であること
- 出所を明示すること
- 改変など、引用部分の著作者人格権を侵害しないこと
引用元:弁護士法人クラフトマン
まず気を付けなければならないことは、不必要な引用をしすぎないということです。
引用を多用してしまうと、内容をコピーしたものと同等の扱いであるため、いわゆる盗作となってしまいます。
適切な場面でのみ引用を使うようにしましょう。
また、引用をする場合は、引用以外の場所と区別をする必要があります。
(上記の引用に関するルールも、他のブログ記事から引用したものです。)
このように一目で引用だとわかるように区別し、引用の出所を必ず記載するように気を付けましょう。
ランサーズ内での引用についてのルール
ランサーズの規定にも、引用についてのルールが記載されています。
適切な引用表現を用いる行為、あくまでも参考の範囲を超えない行為はこの限りではありません。
引用元:Lancers
ランサーズ側も、過度に引用を使用しないことを推奨しています。
自身の成果物をより良いものにするため、必要である場合のみ、引用を使用しましょう。
まとめ
今回はランサーズにおける著作権のルールについて、記事にまとめてきました。
記事を通じて2つの事が分かりました。
- 仕事を依頼する際の著作権ルールが徹底されている。
- 仕事の受注者にとっては非常に不利な規定となっている。
ランサーズで仕事を依頼したいと考えている方にとっては、著作者人格権に関する規定があるため、安心してサービスを利用できると言えます。
しかし、仕事の受注者は、契約が完了した時点で成果物の著作権を失い、著作者人格権すらも効力を無くしてしまうことが判明しました。
著作権に関するルールを知り、気持ちのいい取引を心掛けましょう。
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